「啐啄の機」No.60(2026年9月1日)

2026.09.01

防災の日に考える ~ 情報との向き合い方
 
今日から2学期が始まりました。久しぶりに学校に戻ってきた生徒たちの元気な姿を見ることができ、私もたいへん嬉しく思っています。
 
さて、本日9月1日は「防災の日」です。1923(大正12)年に発生した関東大震災を忘れず、災害への備えを考える日として制定されました。毎年この日には、多くの学校や地域で防災訓練が行われます。
 
折しも今年は、7月28日に熊本県で最大震度7を観測する地震が発生しました。さらに先日は能登半島で豪雨の被害もありました。どれほど科学が発展しても、地震や水害などの天災を完全に防ぐことは困難です。だからこそ私たちは日頃からの訓練が重要なのです。

本校でも防災訓練を行いました。

先生方の消火訓練の様子です。

また防災訓練の他にも、とても大切なことがあります。それは「情報への備え」です。

大きな災害が起きると、根拠のない噂や誤った情報が広がることがあります。10年前の熊本地震では、「動物園のライオンが逃げた」というデマがSNS上に拡散し、多くの人々を不安にさせました。ましてや現在では、生成AIの出現によって本物と見分けにくい画像や動画を作ることも容易になっています。

一方で、デマが広がる要因は、情報を発信する側の悪意だけではありません。私たちには、自分が「信じたい情報」を無意識に信じてしまう傾向があります。心理学では、これを「確証バイアス」と呼びます。

そして厄介なことに、そうした心の働きは、必ずしも悪意から生じるものではありません。「多くの人に危険を知らせたい」という善意や、「不正を糾(ただ)したい」という正義感から、十分に真偽を確かめないまま情報を広めてしまうこともしばしばあります。

だからこそ私たちにとって重要なのは、そうした自分自身の心の動きに自覚的であることです。情報に触れたとき、それを鵜吞みにしたり、すぐに誰かに伝えたりするのではなく、一度立ち止まって考えてみる。そして、別の情報や反対の見方にも目を向けてみる。そうした姿勢が、これからの時代にはますます大切になるでしょう。

そして、こうした姿勢は災害時に限ったことではありません。SNSで見かけた情報やニュース、さらには教室で交わされる噂話など、日常のあらゆる場面に関わることです。私たちは常に情報とどのように向き合うかを考えていく必要があります。

「備えること」と「立ち止まって確かめること」。
——この二つを心に留めながら、生徒の皆さんには、安全で、そして充実した2学期を過ごしてほしいと思います。