夢を起点に、今を生きる
一学期も中間考査を終え、折り返しを迎えました。6月に入り、校内では今週末に控えた体育祭や部活動の大会に向けて、日々努力を重ねる生徒たちの姿が見られます。これから暑い夏を迎えますが、生徒の皆さんには、それぞれの目標に向かって歩み続けてほしいと思います。
ところで、私たちは日々の忙しさの中で、つい「今できること」や「現在の状況」を基準に物事を考えがちです。しかし、ときには視点を変え、「自分は何を目指しているのか」という“目的”から現在を見つめ直すことも大切ではないでしょうか。
子どもの頃、私たちは実に自由な夢や憧れを抱いていました。宇宙飛行士になりたい、世界で活躍したい、人を助ける仕事に就きたい——そこには「自分には無理かもしれない」という制約はほとんどありません。しかし成長するにつれて、現在の学力や能力、周囲の環境を基準に、「できること」と「できないこと」を判断するようになります。もちろん、現実を見つめることは重要です。しかし、それだけにとらわれてしまうと、自分の可能性を狭めてしまうことにもなりかねません。
世界的なホテルチェーンとして知られるヒルトン・ホテルの創業者、コンラッド・ヒルトンは、若い頃は学歴もない一人のベルボーイでした。後年、成功を収めた彼に対し、ある記者が次のような質問をしたそうです。
——「ベルボーイが、どうやってホテル王になれたのですか。」
これに対し、ヒルトンはこう答えました。
——「ベルボーイが成功してホテル王になったのではない。ホテル王がベルボーイから始めたのだ。」
この言葉には、大切な視点が示されています。現在の立場から未来を考えるのではなく、「自分は何を目指しているのか」という目的から今の行動を位置づけているのです。だからこそ、目の前の仕事に意味を見いだし、一歩一歩を積み重ねることができたのでしょう。
私たちは、うまくいかなかったとき、つい原因ばかりに目を向けがちです。もちろん、反省や分析は成長に欠かせません。しかし、それだけでは気持ちが後ろ向きになることもあります。そんなときこそ、「自分は何のために努力しているのか」という目的をあらためて思い出してほしいと思います。目的が明確になれば、「今、自分にできること」が見えてきます。そして、その一歩が次の意欲へとつながっていきます。
学校生活は、将来へと続く長い道のりの途上にあります。今の努力は、すぐに結果として現れないこともあるでしょう。しかし、目的を見失わずに歩み続ける人は、必ず成長します。本校の生徒たちにも、自分自身の夢や憧れを大切にしながら、「目的から現在を考える」という姿勢で、一日一日を大切に積み重ねていってほしいと願っています。