午年に寄せて
新年明けましておめでとうございます。日頃より本校ホームページならびに校長ブログ「啐啄の機」をお読みいただき、誠にありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、令和8年の干支は「午(うま)」です。古来、馬は力強く前へ進む存在として、人と共に時代を駆け抜けてきました。進むべき方向を見据え、地を蹴って走るその姿は、可能性を胸に未来へ向かう若者の姿と重なります。この午年の象徴性は、教育の在り方を考える上でも、多くの示唆を与えてくれるように思います。
優れた指導者を指して「名伯楽」という言葉があります。伯楽とは、中国春秋時代に名馬を見抜いた人物の名で、数多くの馬の中から、その本質的な価値や将来性を的確に見極めたと伝えられています。そこから生まれた「千里の馬は常にあれども、伯楽は常にはあらず」という故事は、生まれ持った才能の尊さとともに、それを正しく見つめ伸ばしていく関わりの大切さを、今に伝えています。
現代にも、この言葉を想起させる例があります。大リーグで前人未到の活躍を続ける大谷翔平選手には、二刀流という可能性を信じ、その道を共に切り拓いた指導者の存在がありました。また、将棋界に新たな時代をもたらした藤井聡太名人も、幼少期からその非凡さを見抜き、挑戦を後押ししてきた多くの師や大人たちに支えられてきました。才能が大きく羽ばたく瞬間には、必ずそれに並走する誰かの姿があります。
学校もまた、同じ使命を担っています。生徒一人ひとりは、それぞれ異なる速さで走り、異なる進路を目指しています。私たち教職員に求められているのは、誰かを無理に引っ張ることでも、立ち止まらせることでもなく、その力を信じ、最もよいタイミングで背中を押し、共に走る存在であると考えています。
本校にも多くの個性が集っています。午年の今年、その一人ひとりと並び、同じ風を受けながら駆け抜ける一年にしたいと思います。生徒たちの前進を支える名伯楽であり続けること——それを年頭の決意として、令和8年の歩みを始めてまいります。