「啐啄の機」 No.47(2025年6月1日)

2025.06.01

学びは場所を選ばない ~ 校長室へようこそ!

今年度から本校では、放課後の学習支援をスタートさせました。外部指導員が常駐して質問に答えたり学習のサポートをしたりするこの取り組みは、生徒たちから早くも大好評です。先日行われた中間考査の直前は、連日勉強する生徒たちで会場が溢れるほどでした。

友だち同士で学び合う光景が目につきます。

そんなある日のこと。勉強する生徒たちの様子を見ていた私に、顔なじみの女子生徒(中学2年生)が声を掛けてきました。

「校長先生! この部屋がいっぱいなんで、校長室で勉強させてもらってもいいですか?」

校長室で勉強? 一瞬ためらいましたが、そのまっすぐまなざしは真剣そのものです。彼女はよほど困っていたのかもしれません。私は、「勉強したい」という生徒の気持ちに応えるために、校長室を開放することにしました。

出張学習会@校長室の様子です。

友だちも交えて、4人の勉強会が始まりました。

そうはいうものの、さすがにここは校長室です。私は、「きっと生徒たちは緊張してかしこまるだろう。勉強どころじゃないんじゃないかなぁ?」と、心配して見ていたのですが…。それはまったくの杞憂でした。

生徒たちは目の前に私(校長先生ですよ!)がいるのも忘れたかのように、勉強に集中していました。そして、わからないところは教え合ったり、また時には息抜きの雑談で笑い声が漏れたりと、その日の下校時刻まで、終始リラックスした雰囲気で学習に取り組んでいました。

「校長先生。有難うございました。また来ますね!」と言って帰っていく生徒たちの後ろ姿を見送りながら、私は「校長室って、そんなに居心地がいいのかなぁ…」と、心の中でつぶやいていました。

こうした日常のひとこまからも、生徒たちの成長の芽がたしかに息づいていることを感じます。この日の出来事のように、自主的に学びの場を求め、仲間と支え合いながら学習に向かう姿こそ、私たちが育てたい「学びの姿勢」そのものです。私は、この日の彼女たちの姿を見て、場所はどこであれ、学びたいという意欲がありさえすれば、そこが最高の教室になるのだと、あらためて思わされたのでした。

生徒たちへの学習支援が始まり、放課後の校内は静かな熱気に包まれています。これからも、生徒たち一人ひとりの学びを支える場を、教職員一丸となって育んでいきたいと思っています。