若葉の季節に思うこと
新年度が始まってひと月が過ぎ、今日から5月です。新入生たちも少しずつ新しい環境に慣れてきたようで、毎朝の登校風景にもたくさんの笑顔があふれています。
5月には旧暦「皐月(さつき)」の異称があります。一説には田植えの時期を表す「早苗月(さなえつき)」が由来であるといわれ、私たちの祖先はこれから秋の刈り入れまで、米作りにたくさんの手間と時間をかけていました。
巷ではあいかわらず米不足が続いていますが、現代の技術では植物の成長を飛躍的に早めることは不可能です。5月に植えた苗が実るには、やはり秋まで待たなくてはなりません。「米」という漢字が「八十八」で成り立っているのは、米作りに費やすたいへんな苦労を意味しているといわれており、それは今も変わらぬ自然の摂理です。
このように、成長には時間がかかります。それは植物に限ったことではなく、私たちも同じです。一瞬で成長するような魔法はありません。できなかったことが、少しずつできるようになる。その小さな努力の積み重ねが、いつか大きな力になります。
今、アメリカのメジャーリーグで大活躍している大谷翔平選手が、高校時代には目標を達成するための課題を書き出して、その一つひとつを克服するための努力を重ねていたという逸話は有名です。大谷選手も初めから160キロの速球が投げられたわけでも、ホームランを量産していたわけでもありません。日々の努力の積み重ねによって、大きな成長を遂げたのです。
5月になり、さわやかな新緑の季節を迎えました。これから木々がぐんぐん新しい葉を伸ばしていくことでしょう。生徒の皆さんもTDUでの生活の中で、これから一歩一歩着実に成長してくれることを期待しています。
人工芝の校庭にも鮮やかな若葉が萌え始めました。