「啐啄の機」 No.27(2023年9月1日)

2023.09.01

枯れ木に花咲くに驚くより、生木に花咲くに驚け
 
長い夏休みが終わり今日から新学期が始まりました。8月中は閑散としていた校内でしたが、今日は朝から多くの生徒たちの活気に溢れる声で賑わっています。 

朝の登校風景です。

賑やかな学校生活が戻ってきました。

アフターコロナ元年といわれる今年の夏休みは各地で大規模イベントが復活しました。生徒の皆さんのなかにはふだんの学校生活では得られない貴重な体験をした人もいることでしょう。あるいはまたその一方で、毎日続くあまりの猛暑にうんざりしてしまい、気持ちとは裏腹に無為な日々を過ごしてしまった人もいるかもしれません。

当たり前のことですが、夏休みの過ごし方は人それぞれであり決まった形などありません。本校の「人間らしく生きる」という校訓が多様な生き方を認めているのと同様に、たとえどのように夏休みを過ごしたとしても、それはまぎれもなく皆さんの思い出の一頁です。いずれの皆さんにとっても、今日からはまた規則正しい学校生活が戻ってきます。私たちは、本日の始業式に無事に皆さんを迎えられたことをなによりも嬉しく思っています。

江戸時代中期、豊後の国(現在の大分県)に三浦梅園(1723-1789)という思想家がいました。梅園は生国が長崎に近かったこともあり西洋の学問に触れる機会が多く、若くして自然科学の実証的な手法を身につけました。そして彼が30歳のとき、自然界のさまざまな現象には決まった法則のあることを見いだしました。その三浦梅園が、次のような言葉を残しています。

「枯れ木に花咲くに驚くより、生木に花咲くに驚け」

枯れた木に花が咲いたらだれでもびっくりすることでしょう。けれども梅園は、「壮大な自然界の法則から眺めれば、生きている木に花が咲くことこそ驚くべきことである」と述べています。つまりは当たり前の日常こそが貴重であり尊ぶべきことだというのです。長いコロナの期間を経た我々にとって、この梅園の言葉は胸に落ちるのではないでしょうか。

今日9月1日は「防災の日」でもあります。私たちは有事に備えることで、無事に日々を過ごせることの有難さが身に沁みます。若い生徒の皆さんにとってはたとえ平凡で退屈な日常の繰り返しだと感じられたとしても、実はそれこそがたいへん大切なことだったりします。今学期も私たちはそんな皆さんの日常を支えていきたいと思っています。