「啐啄の機」 No.7(2021年11月1日)

2021.11.01

今回は野球の話題が中心となります。野球に詳しくない方や興味のない方は、どうかご容赦ください。

自己肯定感と承認欲求

11月になったばかりで一年を振り返るにはまだ少々気が早いですが、今年は東京オリンピック・パラリンピックの開催などもあり、スポーツ界が盛り上がった年でした。テニスでは大坂なおみ選手が全豪オープンで優勝し、ゴルフでは松山英樹選手がマスターズを制するなど、海外からも嬉しいニュースが飛び込んできました。そして野球では、メジャー・リーグでの大谷翔平選手の活躍に、多くの人が心を躍らせたものと思います。

野球といえば、先日は日本のプロ野球においてペナントレースの優勝チームが決まりました。今年のプロ野球の優勝チームは、セリーグがヤクルトスワローズ、パリーグがオリックスバファローズ。セ・パともに前年度最下位のチームが優勝するという、稀に見る結果となったことも大きな話題となりました。

ところで、皆さんはセリーグを制覇したヤクルトスワローズの高津臣吾監督の口癖をご存知ですか? それは次の言葉です。

「絶対大丈夫!」

高津監督は2年連続最下位に低迷していたチームの雰囲気を変えるために、今年は意識的にこの言葉を繰り返したそうです。

プロ野球という勝負の世界で最下位というのは、選手にとってたいへんな屈辱で、精神的にもヘコむものです。そんな中にあって、高津監督の発する「絶対大丈夫!」という言葉に勇気づけられた選手はたくさんいたのではないでしょうか。その結果、それまでと戦力が大きく変わったわけではないのに、選手たちは伸び伸びと力を発揮し、優勝という結果をもたらしました。

最近よく耳にする言葉に「レジリエンス」という語があります。日本語では「回復力」とか「しなやかさ」と訳される英単語です。現代では「レジリエンス」を「困難な問題や危機的な状況、またそれに伴うストレスといった要素に遭遇しても、すぐに立ち直り対応することができる力」と定義することが多いようです。たとえ困難に直面しても、レジリエンスがあることで最善の方策を探る努力をすることができます。

「絶対大丈夫!」という言葉は、このレジリエンスの源となる、我々に大きな勇気を与えてくれるマジックワードなのかもしれません。なぜなら、たとえ物事がうまく進まない場合でも、だれかが自分の努力を認めてくれて、「絶対大丈夫!」と言葉をかけてくれるなら、きっとそれは大きな力になるはずだと思うからです。

人はだれでも「自分自身を認めてもらいたい」という気持ち、つまり<承認欲求>を持っているものです。この「絶対大丈夫!」という言葉には、そうした欲求を満たしてくれる力があります。それが、その人の自己肯定感につながり、困難に立ち向かう力にもなるのではないでしょうか。

日本の子どもたちは諸外国に比べて自己肯定感が低いと言われています。(平成30年度 内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」) ましてや長く続くコロナ禍の中で、多くの子どもたちが不安におびえ、自分の行動に自信が持てなくなっていることと思います。また、もしかしたらこのブログをご覧になっているご家庭の中には、来年受験を控えているお子さまをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

そんな子どもたちには、ぜひ保護者の皆さまから、「絶対大丈夫!」と声をかけてあげてください。子どもたちは、きっとその言葉に勇気づけられることでしょう。だれかが自分を見ていてくれる、そして認めてくれている、それが子どもたちには大きな自信となるはずです。

「絶対大丈夫!」 この言葉を、今日からTDUの合言葉にしていきましょう!

本校の野球部も日々練習を頑張っています!