「校長ブログ」 No.192(2020年10月26日)

2020.10.26

自分とは異なる存在への想像力を…

先日、東大医科学研究所の河岡教授らの研究グループによる、実物の新型コロナウイルスとマネキン人形を使った実験結果についての記事を読みました(朝日・毎日新聞10/22夕刊)。感染予防にマスクは一定の効果があることが実証されたそうです。

新型コロナウイルスの含まれた飛沫を口から飛ばす感染者に見立てたマネキンと、被感染者に見立てたマネキンを向かい合わせに置き、それに3種類のマスク(医療用N95マスク・サージカルマスク・布マスク)をつけたり外したりして、被感染者のウイルス吸い込み量を比較するという実験です。結果は、いずれの条件においても、マスクを着用している場合は、していないのに比べて吸い込むウイルス量を減らすことができ、とくに双方ともマスクをしている場合は相乗的な効果が見られたそうです。もちろん、マスクだけで感染を完全に防ぐことはできませんが、「流行拡大を防ぐには皆がマスクをすることが重要」とありました。

もともと日本人は、コロナ以前から花粉症対策のためにマスクを着ける習慣があり、欧米人に比べるとマスクへの抵抗感が少ないようです。現在、欧米で本格的な感染第二波が発生しているのに比べ、日本の感染状況がある程度抑えられているのは、マスク着用率の高さも一因かもしれません。

しかし、マスクを過信することはできません。手洗いの励行やソーシャルディスタンスを保つことなど、基本的な感染予防策を併用することが肝心だと河岡教授も言われています。私たちの日常は、そう簡単にはコロナ以前には戻れない、と思っていた方が無難でしょう。「新しい生活様式」をスタンダードとする覚悟が求められているのです。

この感染症のやっかいなところは、若い世代が罹患しても無症状であったり比較的軽症だったりすることが多いのに対して、高齢の方や基礎的疾患を持っている方が罹ると重症化することが多いことです。新型コロナへの感じ方は世代間で大きく異なるのです。

みなさんは、自分たちは新型コロナに罹ってもたいしたことないだろうと高を括ってはいませんか?例えば、学校への行き帰りの電車の中で、周囲の目を気にせず、大きな声で友だち同士おしゃべりに夢中になっていることはありませんか?

でも、もしかしたら、みなさんのすぐお隣に、お年寄りや病気を抱えている方がいらっしゃるかもしれません。そういうハンデを持っている方があなたたちの振る舞いに対して、身の危険を感じるのは大げさ過ぎると、はたして言い切れるでしょうか?

自分とは異なる存在に思いを致すこと、他者への想像力は、人間としての理性的な態度だと、私は思いますが…。