「校長ブログ」 No.182(2020年4月21日)

2020.04.21

くちびるに歌を持て※
 
4月18日夜(日本時間19日午前)、アメリカの歌手レディー・ガガさんが呼びかけた、医療従事者を応援するためのチャリティー・コンサート「One World: Together At Home」がインターネット上で配信されました。
 
ポール・マッカートニー、ローリング・ストーンズ、エルトン・ジョン、ビリー・アイリッシュ、テイラー・スウィフトら、名だたる人気アーティストたちが自宅から演奏を届け、自らの命を危険にさらしながら懸命に働く医療従事者への感謝の気持ちと、コロナウイルス感染拡大防止を呼びかけました。彼らの志や思いは、目に見えないウイルスと戦っている世界中の人々に確実に届いたと思います。
 
感染拡大防止のためコンサートやライブ、スポーツなどのイベント開催が自粛されています。自分たちのパフォーマンスを直接観衆に届けたくても届けられない中、多くのアーティストやアスリートたちがネットに動画を配信してくれています。
 
私の数少ない趣味であるクラシック音楽やお芝居の世界も、公演の中止が続いています。今、音楽や演劇などの舞台芸術に関わる人たちは表現活動の場を失い苦境に立たされています。そんな中、19日夜のNHK Eテレで「いま届けたい音楽~音楽家からのメッセージ」という音楽番組を観ました。番組では、行政や企業から経済的援助を受けず、収入をコンサートのチケット代に頼って運営しているオーケストラ(東京交響楽団)が、3月下旬に開催した公演を取りあげていました。
 
このままの状態が続くと、いずれ団員に給料も払えなくなり活動を休止、最悪の場合は解散もあり得る。コロナ騒動が収まって活動を再開しようにも、その時には今と同じパフォーマンスを聴衆に提供することはできない。楽団員のそんなインタビューが印象的でした。オーケストラは100人あまりの人間の集合体であって同時に一つの生き物なのです。活動を休止することは、生命体にとっての死を意味するのだ、という強いメッセージと受け止めました。
 
コロナウイルス感染症がいつ終息し、日常の生活が戻ってくるのかは誰にもわかりません。今はひたすら三密を避けて外出を控え自宅でじっと過ごすしかない。そんな苦しい時にこそ、音楽は必要です。音楽には人々に勇気や希望や安らぎを与える力があります。
 
番組の最後に、現役最長老で今年93歳になる指揮者、ヘルベルト・ブロムシュテットさんが、スイス、ルツェルンの自宅から、日本の音楽ファンに向けて、こんなメッセージを寄せてくれました。
 
好きなメロディーを口ずさんだり口笛を吹いたりするだけでも、気持ちが朗らかになります。小さなお子さんがいるなら、子守歌を歌ってあげてください。あなた自身がお母さんに歌ってもらったように。自宅にいても、心を音楽で満たしてください。音楽を楽しんでください。音楽には癒しの力があります。こんな時だからこそ、音楽が必要なのです。


※「くちびるに歌を持て」(山本有三編著『心に太陽を持て』(新潮文庫)より)