「校長ブログ」 No.157(2019年4月19日)

2019.04.19

リクルートスーツはどうして黒?

「朝日新聞」4月12日朝刊に「大学入学式 スーツ「黒一色」なぜ」という記事が掲載されています。どこの大学でも(東京電機大学も)入学式の新入生はなぜか男女とも圧倒的に黒か濃紺のスーツであることを話題にした記事です。

私が大学に入ったころは、入学式にスーツで出席することはそれほど一般的ではなかったと思います。私も普段着とあまり変わらない格好で入学式に出ていました。女子学生を含めて周りの学生もみんな思い思いの格好で参加していたように記憶しています。少なくとも会場が黒一色なんてことは絶対になかった。70年代はそういう時代だったのでしょうね。

記事によれば、「入学式は黒のスーツ」が定着したのは1990年代後半から2000年代初頭にかけてとのこと。当時は就職氷河期にあたり、就活での服装が黒いリクルートスーツに標準化した時期と重なるそうです。いずれ就活で使うからと新入生も黒一色になっていったらしいですが、これにはスーツ業界の巧みな宣伝戦略が関係しているのではないかと思います。

それにしてもリクルートスーツが黒というのは、私にはかなり違和感があります。黒いスーツは冠婚葬祭の時に着用するものというイメージがあり、確かに入学式・卒業式は特別な式典かもしれませんが、就活にも黒スーツというのはかなり抵抗があります(黒いスーツを着こなすにはそれなりのテクニックが必要です)。

記事には、みんなが黒いスーツを着ている中で、一人だけ明るい色合いのスーツを着るのは「悪目立ち過ぎ」という学生の意見が載っています。人と違う服装をして、良くも悪くも目立つことで加点されるより減点される可能性を恐れてしまうあたり、就活生たちの気持ちも分からなくもないけれど、そんな消極的な考えで果たして選んでもらえるのか、と心配にもなります。

ちょっと前ですが、女子学生憧れの日本航空の1980年代と2000年代の入社式の写真二枚を並べた「日本経済新聞」の記事を見たことがあります。その2枚がものの見事に対照的で、80年代バブル期の女子新入社員たちは色とりどりの個性的な出で立ちであるのに、就職氷河期の新入社員は全員制服かと見紛うばかりの白シャツに黒スーツ(髪型も同じ!)という没個性的な服装です。

人との違いを際立たせて自分の個性をアピールするより、とりあえずみんなと同じように行動する。加点チャンスを得るより減点リスクを避けようというのが日本人の一般的特性なのか、それとも私たちの生きる時代の空気なのでしょうか?