「校長ブログ」 No.152(2019年2月28日)

2019.02.28

メリー・ポピンズ リターンズ

入試が終わって一段落した休日、気分転換を兼ねて映画を観てきました。「メリー・ポピンズ リターンズ」です。ディズニーの名作ミュージカル映画「メリー・ポピンズ」が公開されたのは1964年ですから、実に半世紀ぶりの続編(映画のためのオリジナルストーリー)です。因みに旧作を観たのはたぶん大学1年の時だったと思いますが、ジュリー・アンドリュースの歌う“チム・チム・チェリー”などの名曲や実写とアニメの合成シーンなど、大学生の私でも十分に楽しめましたし、子供が小さいころはホームビデオで繰り返し観ましたから、とてもなじみ深いディズニー映画です。

「リターンズ」の舞台は前作から20年後の大恐慌期。バンクス家のマイケルは桜通りの家で妻に先立たれ幼い三人の子供たちと暮らしていますが、しがない画家で今は父親ジョージの勤めていた銀行の臨時雇い(今でいう非正規社員)の身。借金の返済期限が迫り大切な家を失う危機に直面しています。そこへ東風に乗ってあの懐かしいメリー・ポピンズが子供たちのナニー(乳母・教育係)として戻ってくるという設定です。メリーの繰り出す不思議な魔法で子供たちを厳しくしつけつつ、彼らを夢と冒険の世界へと誘い、そして一家の危急を救うのです。

最新の特殊効果をあえて使わず、実写と手描き風アニメの合成という手法の採用は前作に対する敬意が感じられます。また前作を観ている観客にとっては、懐かしい小道具やシークエンスがあちこちに見られてうれしくなります。ただし歌曲はすべて新作で構成されていて、それもまた楽しい音楽に違いないですが、古いファンにとしては前作の、せめて1曲(“お砂糖ひとさじで”でしょうか…)くらいは聴きたかったな、というのが正直な気持ちです。

このように全体に前作へのオマージュを感じられる作品ですが、たんなるレトロではなく現代的なテーマも盛り込まれています。例えば、家父長然とした威厳ある前作のジョージ・バンクスから、優しいけれど生活能力に欠けて自信のないマイケル・バンクスへと父親像が大きく変化していますし、銀行家と労働者の経済格差という現代的な視点も盛り込まれています。

主演のエミリー・ブラントは、ジュリー・アンドリュースに比べても遜色のない魅力的なメリーを造形しており、その他の出演者たちも適役です(まさか前作に出ていたディック・ヴァン・ダイクが登場するとは思ってもいませんでした!)。もちろんダンスシーンもダイナミックで素晴らしい。

メリー・ポピンズの映画化をめぐっては、原作者であるパメラ・L・トラヴァースとウォルト・ディズニーの間にさまざまなドラマがあり、そのあたりは「ウォルト・ディズニーの約束」(2013年)として映画化されています。興味のある方はそちらもご覧になるといいでしょう。

「リターンズ」、十分に楽しめたのですが、家に帰ったらすぐに旧作のDVDを観たいと思ったのは、たぶん私だけではないでしょう。

(監督・制作 ロブ・マーシャル 2018年アメリカ映画 2時間11分)