「校長ブログ」 No.148(2019年1月24日)

2019.01.24

『リバース&リバース』

3学期に入り、本校でもインフルエンザが流行しています。前号で受験生のみなさんに向けて「インフルエンザに気をつけて!」と呼びかけた私自身が、そのあとインフルエンザに罹り、連休をはさんだ5日間、自宅休養・待機を余儀なくされました。面目次第もありません…。

幸い予防接種のおかげかそれほど高熱にもならず、処方された薬ですぐに解熱しました。しかし、解熱後5日間は出勤しないようにと医師から指示があり、その間は自宅で大人しくしているしかなく、買ったまま放置していた本を読んで過ごしました。仕事に関連する本、趣味の本、そして書評を読んで気になった小説など、気の向くままに読み散らかした本の中から、1冊をご紹介しましょう。年末に偶然観ていたテレビ番組で、直木賞作家の朝井リョウさん(前にこのブログで受賞作『何者』を紹介したことがあります)が「推し本」として紹介していた奥田亜希子さんの『リバース&リバース』です。

ティーン誌の編集者の禄は読者からのお悩み相談ページを担当しているが、かつての投稿者との間にトラブルを抱えていた。一方、地方に暮らす中学生の郁美はその雑誌の愛読者。東京から転校生が現れたことで、親友との関係が変わり始めてしまう。出会うはずのない二人の人生が交差する時、明かされる意外な真実とは…。(本の帯の紹介文から)

投稿者からの悩みに対する禄の「人は、否定する側だけい続けることはできません」という回答、そしてそれに呼応するかのような郁美の「人はね、ずっと被害者の立場ではいられないの。日常生活の中では、誰もが被害者にも加害者にもなるの。なっちゃうの。私たちはね、許したり許されたりしながら、何度も何度も関係をひっくり返しながら、何とか進んでいくしかないんだよ。」という言葉。これがこの小説のテーマです。

もしかすると、傷ついたり傷つけたりが思春期の人間関係の基本かもしれません。誰もがそういう経験を経て、いわばお互いの「生存圏」に踏み込まない、大人のつきあい方を覚えていくのではないでしょうか?

この小説は、ぜひ中学生のみんなに読んでもらいたいと思いました。

※因みに書名の「リバース&リバース」は、英語のreverse(ひっくり返す)とrebirth(生まれ変わり)のようです。

奥田亜希子『リバース&リバース』 新潮社2017年11月刊