「校長ブログ」 No.146(2018年12月12日)

2018.12.12

平成の30年を振り返る

今上陛下のご退位が決まったことで平成時代も来年4月30日をもって終わりを告げ、翌日の新天皇の即位をもって新元号による新しい時代が始まります。この年末は、きっと平成の30年を総括する催しや新聞、テレビの特集が多く組まれることでしょう。

平成時代は、後世どんな時代として回顧されるのでしょうか。個人的な思い出なのですが、長男の1歳の誕生日がちょうど昭和天皇崩御の日、即ち昭和64年1月7日でした。延々と続く崩御関連の特別番組を見ながら、長男の初めての誕生日を私たち夫婦と4人の祖父母とともに自宅でひっそりと祝いました。その日の午後、小渕官房長官によって新元号が「平成」であると告げられるのをテレビで見ながら、「へいせい」という語感が、なんとなくしっくりこないなと思ったことを覚えています。私にとっての平成時代はこの光景から始まります。

平成生まれの若者向けに、平成のさまざまな出来事を振り返りながら時代の様相を考察した『10代に語る平成史』という本が出版されています。著者は共同通信出身で、現在はテレビ朝日「報道ステーション」のコメンテーターを務められている後藤謙次さんです。

本書の「あとがき」に朝日新聞の世論調査(2018年4月30日付)結果が引用されています。それによれば平成は「動揺の時代」とか「沈滞した時代」あるいは「保守的な時代」と、どちらかというとネガティブな時代として人々に認識されているようです。確かにバブル崩壊と“失われた20年”と呼ばれる日本経済の停滞、阪神・淡路大震災や東日本大震災と原発事故という甚大災害の印象は、人々の持つ時代相にかなりの影響を与えているに違いありません。

「動揺の時代」としては、米ソ冷戦構造が崩れたのも平成元(1989)年でした。冷戦が終わって平和になるかと思いきや、かえって民族、宗教の対立を背景とした紛争やテロが頻発して、世界の情勢はますます混迷の度を深めているように思われます。

また一方で、私たちの身近な生活環境にも大きな変化が見られた30年でもありました。例えば、インターネットや携帯電話などの情報通信技術の進歩は、平成時代を理解する上で欠かすことができません。アメリカの大統領がツイッターで重要政策をつぶやくことなど、30年前の誰が想像できたでしょうか。

もう一つだけ挙げれば、戦後ずっと増え続けていた日本の人口がピークアウトして、人口減少が始まったのも平成時代です。人口減少がこれからの日本にどのような影響を及ぼすか、それがはっきりするのが次の新元号の時代でしょう。

本書は10代向けとは言いながら、大学生を想定しているようですから、中高生が読むにはやや骨が折れるかもしれません。しかし、自分たちが生まれた平成がどんな時代であったのか、そしてこれからの日本にどう繋がり影響するのかを考える知識と視座を与えてくれるはずです。進路の決まっている高校3年生には、格好の課題図書になると思います。

後藤謙次『10代に語る平成史』 岩波ジュニア新書2018年7月刊