「校長ブログ」 No.145(2018年11月30日)

2018.11.30

『ごみ収集という仕事』

みなさんの住んでいる地域は、ごみは有料ですか、それとも無料ですか?

東京23区内では家庭ごみは無料で収集してくれますが、小金井市をはじめ多摩地区の自治体では、ごみは専用ごみ袋を購入する形で有料収集になっています。その料金にも差があり、ネットで検索すると、例えば40Lのごみ袋10枚の値段は、立川、武蔵野、府中、小金井、国分寺などは800円、八王子、三鷹は750円、町田は640円、西東京、多摩、稲城、福生、昭島は600円、そして清瀬は400円だそうです。因みに23区以外で無料なのは小平と武蔵村山。それもいずれ有料化されるようです。

ごみ収集を有料にするのは、有料にすることで市民にごみの減量や分別、資源化つまり3R(Reduce・Reuse・Recycle)を意識してもらうねらいがあります。もちろん、ごみ処理に係る経費の節減や処理施設の更新期間を延長させることもあります。結局は、それが税負担する市民の側にとってもプラスになるわけです。

ところで、生活者にとって「あって当たり前」と思っているごみ処理が、日常どのように行われているかは、意外と知られていないのが現実ではないでしょうか。地方自治や行政学を専門とされる大東文化大学の藤井誠一郎先生の『ごみ収集という仕事』という本を読みました。

藤井先生は「自治体職員と地方自治の活性化」を研究テーマに掲げられ、その中で日常業務の「縁の下の力持ち」的存在である清掃部門の職員の仕事を実地調査することを思い立ち、新宿区のごみ処理現場を9ヶ月間にわたって自ら体験されたそうです。実際にごみ収集車に乗り、清掃員の方と同じ仕事をこなす中で見えてきた、ごみ処理にまつわる様々な問題がまとめられています。

ごみ処理にお金がかからないがゆえに、分別や減量にはあまり熱心ではない住民の方もいます。また土地柄、外国人の居住者が多いので、ごみ出しのルールを理解してもらうことの困難さもあります。さらに日本有数の繁華街、歌舞伎町地区などでは、本来有料である飲食店や事務所から出される事業ごみが家庭ごみとして排出され、収集に苦慮するなど様々な問題が発生しています。

たとえルール違反の違法ごみであっても、「自分の担当する街をごみで溢れさせない、清潔な街を維持する」という強い使命感で、黙々と処理する清掃員の誠実な仕事ぶりには頭が下がる思いがします。本来は分別が必要なスプレー缶やライターなどの危険物は、そのまま放置すれば爆発や火災発生につながるので、清掃員がごみ袋をいちいち破って取り出す作業(破袋選別というそうです)もするそうです。危険物にはガラスや医療器具(注射針!)もあり、怪我や健康被害につながりかねないリスクと背中合わせの作業です。そうした作業をしている人を想像できれば、ごみ分別の手間など何でもないと思えるのではないでしょうか。

清掃事業という当たり前と思っている行政サービスを維持していくためには、住民一人一人がその担い手であることを認識して行動する(ごみで言えば収集のルールをきちんと守る)ことが必要であり、結果的には住民が負担する税金の無駄を省くことにもつながるのだという思いを強くしました。

明日から師走、一年でごみが一番多くなる季節です。寒い中、日々ごみ処理に格闘している人たちがいることを意識しながら、私自身もごみの減量を心がけたいと思います。

藤井誠一郎『ごみ収集という仕事』 コモンズ2018年5月刊