「校長ブログ」 No.140(2018年10月6日)

2018.10.06

『わたしの空と五・七・五』

最近、俳句がブームになっているようですね。その火付け役となったのは、木曜夜7時にTBS系で放映中の『プレバト!!』、芸能人による「俳句」コーナーではないでしょうか。私も毎週楽しみにしている番組です。このコーナー、芸能人たちの作る俳句を遠慮会釈なくバッサバサと添削する夏井いつき先生の存在を抜きには語れません。

夏井先生の凄いところは、誰もが納得せざるを得ない問題点を指摘すると同時に、それを魔法の如く赤ペン一本で、あっという間に見違えるような句に作り替えてしまう手際の良さでしょうか。もう一つ特筆すべきは、彼女の歯に衣着せぬ物言いでしょう。芸能界の大御所だろうが人気タレントだろうがお構いなしに、ダメなものはダメとはっきり言い切る威勢の良さ。さらに素晴らしいのは、きつい言葉で叱られても、叱られた方に「確かにそうだな…」と思わせて「次はもっと良い句を作ろう!」と発憤させる(夏井先生に叱られて二度と俳句を作るものかと思うゲストはいないとか…)ところで、お見事と言わざるを得ません。夏井先生、かつては中学の国語の先生をしておられた由、きっと素敵な先生だったでしょうね。

番組を見続けているだけで、俳句の何たるかを知り、俳句作りの基本的な約束事を学ぶこともできて、誰もが自分も一句モノしてみようと思わせる『プレバト!!』は、間違いなく平成の俳句ブームの立役者の一人と言えましょう。

そんな俳句ブームを背景にした、中学生を主人公とする物語を読みました。

中学校に入ったばかりの空良(そら)は、どの部活にも入る決心がつかない。
そんなとき、下駄箱に入っていたあやしげなチラシが気になり、文芸部の部室をのぞきに行った流れで、入部することに。
見よう見まねで俳句を作るようになった空良が、吟行(ぎんこう)のために学校の敷地内を歩いていると、同じクラスの颯太(そうた)が、部活の先輩とトラブルになっているのを見てしまい……。(講談社BOOK倶楽部 本の内容紹介より)

俳句を題材にしながら、おしゃべりはちょっと苦手な主人公が中学入学と同時に新しい友達関係につまずき、「ことば」の持つ意味や大切さを知り、そして、ほのかな恋の予感も感じさせる小説です。

では、最後に、主人公の空良が新入生歓迎句会で披露した句を紹介しましょう。

悔しさに眠れぬ夜も蘆の角

春の朝傷つくことがこわいのだ

どういう心境の句であるか知りたい人は、ぜひ本を手にとってください。

森埜こみち『わたしの空と五・七・五』(講談社)2018年刊

(第19回ちゅうでん児童文学賞受賞作)