「校長ブログ」 №120(2018年3月8日)

2018.03.08

バーンスタインの傑作「ウエスト・サイド・ストーリー」

20世紀を代表するアメリカの大指揮者であり作曲家であるレナード・バーンスタイン(1918~90)。今年は生誕100年を記念して、各地でさまざまなイベント、コンサートが行われるようです。日本を代表するオーケストラ、NHK交響楽団が彼の代表作であるミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」(以下WSS)を演奏するコンサートに行ってきました(3/4パーヴォ・ヤルヴィ指揮 Bunkamuraオーチャードホールにて)。

WSSは作曲のバーンスタインをはじめとする若いアーチストたちのコラボによって生み出された、ミュージカル史上画期的な作品です(初演は1957年)。斬新なダンス・シーン、クラシックを土台にしながらも現代音楽やジャズ、ラテン、ブルースといった多様なジャンルを織り交ぜた音楽、従来のブロードウェイの常識に反した悲劇的な結末等々、その後のミュージカルに多大な影響を与えました。1961年には映画も制作されミュージカル映画史上屈指の傑作とされています。今も世界各地の劇場で繰り返し上演されています。

WSSはシェークスピアの「ロミオとジュリエット」のプロットを借りて、当時のニューヨークのスラム街だったウエスト・サイドを舞台に、東欧系アメリカ人の少年非行グループ「ジェッツ」(ジェット団)と、後から街にやって来たプエルトリコ系移民の少年非行グループ「シャークス」(シャーク団)との対立抗争とその犠牲となった若い男女(トニーとマリア)の悲恋の2日間を描いています。

今回は演奏会形式での公演でしたから、台詞は最小限に抑えられ、最大の見どころであるダイナミックなダンス・シーンがカットされていたのは残念でしたが、その代わり、バーンスタインの音楽の素晴らしさを存分に味わうことができました。

有名なナンバー、「クール」「マンボ」「アメリカ」「アイ・フィール・プリティ」…、聴いているうちに、自然と身体がリズムに合わせて動きだしてしまうのを止めることができません(ふだんのクラシックコンサートではお行儀が悪いとされてしまいますね…)。中でも、トニーがマリアの名を何度も口ずさんで唄う「マリア」、夜遅くマリアを捜し求めるトニーがアパートの窓辺にマリアを見つけ、非常階段を駆け上がって二人でデュエットする「トゥナイト」(ロミジュリで言えばバルコニーのラブシーンにあたる)は名曲中の名曲です。

二人の愛は成就することなく、ジェッツとシャークスの報復のし合いの中でトニーが命を落とし、残ったマリアは対立する少年たちに怒りをぶつけ、争うことの無意味さを訴えて静かにエンディングとなります。

どこか遠くに僕たちの居場所があるはずだ、みんなが仲良く暮らせる世界がどこかにある…と唄う「サムウェア(どこかに)」は、WSSが差別、格差、貧困といった社会的問題をテーマとしていることを浮かび上がらせる作品中最も重要な曲です。楽曲だけを集中して聴くことで、バーンスタインの意図が鮮明になったように感じました。

帰宅途中、頭の中ではWSSの音楽とともに、ニュースで見た砲煙と瓦礫のシリアの街で、救助隊に抱きかかえられる少年の映像が浮かんできました。

WSSに興味を持った人は、是非映画をご覧ください。(ダンス・シーンはほんとにクールでカッコいい!)
とりあえずWSSの音楽をちょっと聴いてみたいという人は、YouTubeで「ドゥダメル マンボ」と検索してみてください。ものすごいノリノリのオーケストラ版マンボが聴けますよ!