「校長ブログ」 №119(2018年2月20日)

2018.02.20

メダリストたちの精神力・集中力

平昌(ピョンチャン)オリンピックでの日本人選手の活躍が続いています。

オリンピックに参加したすべての国のすべての選手たちに対して、心から拍手を送りたい気持ちに変わりありませんが、やはり二人の金メダリスト、羽生結弦選手と小平奈緒選手の「ここ一番!」という大事な場面で見せた精神力、集中力には本当に感嘆せざるを得ないものがありました。

ソチでの金メダルに満足できない羽生選手にとって、平昌は完璧な演技での連覇達成という高い目標を掲げて臨んだはずです。しかしソチ以降は必ずしも順風満帆ではなく、たびたびけがや病気などのアクシデントに見舞われ苦しみながらの4年間でした。直前の右足首のけがのため満足な練習もできない状態で迎えたオリンピックの大舞台。氷上の羽生選手の姿からは「鬼神もこれを避く」が如き気迫がみなぎる一方、その演技は鋭利な冴えを見せながらも優雅で美しく繊細でまさに「千両役者」の風格。観る者を魅了しました。

羽生選手は試合後のインタビューでこんなことを言っています。「衝突、捻挫、インフルエンザ、今季もまたけが。それだけ、恐れずにチャレンジしてきたからだと思う」(「朝日新聞」2月18日朝刊)。チャレンジに失敗や事故はつきもの。でも失敗しなければ成功はないことを羽生選手は身をもって示してくれました。

小平選手の氷上を見つめる目も印象的でした。レース後のインタビューでアナウンサーは「獣のような」と表現したことに、ご本人はちょっとはにかんだ表情を見せましたが、確かにレース中の彼女は、ふだんの小動物のような可愛らしい目とは全く異なる厳しい求道者・勝負師のものでした。彼女もまたソチ五輪5位(500㍍)という結果に満足せず、強豪国オランダに留学。異国での経験と努力の成果がワールドカップ15連勝という圧倒的な強さに結びつきます。金メダルをめざす小平選手にとっての最大の壁は、五輪2連覇、世界記録保持者李相花(イサンファ)選手というライバルの存在です。しかし、決戦の時において小平選手の眼中に李選手の姿は見えなかったはずです。試合用に替えるのを忘れて練習用のゴーグルのままレースに臨んだことからも、彼女がレースそのものに集中していたことがわかります。雑念の入り込む隙のない集中力こそ小平選手の真骨頂でしょう。

すべてが終わった後、小平と李という好敵手同士が氷上で抱擁する場面は今大会のハイライトシーンと言えるのではないでしょうか。互いを尊敬し高め合う良きライバルの存在が、一流アスリートたちのモチベーションの源泉なのだとわかった気がしました。