「校長ブログ」 №118(2018年2月9日)

2018.02.09

一歩踏み出す勇気 山口絵理子さんの講演

今年も中学入試の合間の2月4日に文化講演会を開催しました(府中芸術劇場)。

今回の講師は(株)マザーハウス代表取締役兼チーフデザイナーという肩書きをお持ちの山口絵理子さん。「一歩踏み出す勇気~Keep Walking~」というタイトルで約1時間お話くださいました。

山口さんが「途上国で世界に通用するブランドをつくる」という夢を見つけたのは24歳の時でした。今から思えば、その夢は小学校以来のさまざまな経験が一つにつながった結果と感じられているそうです。

小学校時代はイジメに遭って不登校になり、中高時代は一転して柔道に打ち込み全国有数の強化選手にまでなります。しかし、柔道が自分の目指すべき夢でないと気づきスパッとやめて、今度は推薦入試で慶應大に入学。国際協力や途上国援助に興味を持ち、ワシントンの国際機関でのアルバイト(インターンシップ)を経験しますが、援助が本当に困っている人の元に届いているのか疑問を持つようになります。

そこで途上国の実情を理解しようと、大学卒業後はアジア最貧国だったバングラデシュに留学。すさまじい経済格差と政治腐敗の中で、いとも簡単に人の命が失われていく現実をつぶさに観察し自分にできることは何かと考えた末、途上国の人々の自立に向けた高品質なものづくりを目指そうという夢をようやく手にし、(株)マザーハウスを起業されました。

山口さんの考える国際協力、途上国援助のあるべき姿は、途上国の人々が誇りをもって働ける場を提供し、優れたモノを生産し、労働の対価として正当な賃金を支払い、その上で持続的に生産を続けることです。マザーハウスの活動はその実践でしょう。

夢や自分のやりたいことはそんな簡単には見つからない。それを見つけるためには自ら積極的に行動しなければならない。自分の可能性を適当に決めつけてはならない。心底やりたいと思ったことは簡単には諦めないで欲しい。山口さんからそんな言葉もいただきました。

昨年の為末さんと同様、山口さんもわかりやすい言葉でお話しくださったので、質疑応答では多くの生徒から手が挙がりました。その中で、「(バングラデシュで裏切られた話を受けて)どうやって人を信用したらいいのか?」という質問に対する山口さんの回答が印象的でした。

自分から信じるリスクを取らないと相手から信じてもらえない。自分からこの人は信じないと心の扉を閉めてしまうことはやめようと決めている。この人なら信用できると思えたら、心の扉を開けて会ってみる。出会いの扉を閉ざした人と閉ざしていない人では、人生の彩りは全く異なると思う。

信頼している人から裏切られるような辛い思いは誰しもしたくはありません。でも、だからといって誰も信用しないと決めつけて生きる人生は、それ以上に辛いのではないでしょうか。