「校長ブログ」 No.114(2018年1月9日)

2018.01.09

『君たちはどう生きるか』

新年最初の校長ブログをお届けします。今年もどうぞよろしくお願いします。

本日の始業式では、話題のベストセラー、漫画版『君たちはどう生きるか』を紹介しました。吉野源三郎の原著が日中戦争発端となる盧溝橋事件直後の1937年(昭和12年)8月に出版されていること。当時の日本では軍国主義化が進み、多くの人々が時代の空気に抗うことができず、ある種の同調圧力に飲み込まれていたこと。そうした風潮に危機感を抱いた吉野が、児童書という形を借りて、個人の尊厳と人間同士の連帯を訴えようと書かれた作品であること。そんな時代背景と原作の関係について説明しました。

今回、100万部の大ベストセラーとなったのは、80年前と現代との時代相が似通っていることの反映ではないかとの指摘もあります。確かにそういう面もあるかもしれません。とくに貧困や格差を描いた部分は、ちょっと前までの読者にはピンとこなかったかもしれませんが、今読むと非常に現代的なテーマであると感じさせます。

しかし、私はどちらかというと、思春期の青少年であれば誰もが抱える普遍的なテーマを漫画という現代的なツールを通じて描いたことが、多くの人々に受け入れられた理由ではないかと思います。

原作は平明な日本語で書かれてはいますが、人としての生き方、あり方の根本を説いて非常に重たいものがあります。何度読んでも考えさせられます。この機会に、まだ読んだことのない人も是非手にとり読んでみてください。そして、吉野源三郎から現代のコペル君たちへの問いかけ「君たちはどう生きるか」の答えを、各人で見つけて欲しいと思います。