「校長ブログ」 No.80(2017年2月11日)

2017.02.11

二人のセールスマンのはなし

今回も為末さんの講演会からの話題です。

講演後に「どうしたら自分の思い込みに気づけるか?」という中学生の質問がありました。これに対して為末さんはちょっとした小咄を枕に回答されました。

二人の靴のセールスマンがある島に靴を売りにやってきた。ところがこの島は靴を履く習慣がない裸足の国だった。二人はそれぞれ本社の上司に報告の連絡を入れた。 一人は「大変です。この島では靴を履く習慣がありません。だから我が社の靴が売れる見込みは全くありません」と報告した。もう一人は「大変です。この島では誰も靴を履いていません。だから我が社の靴が飛ぶように売れる可能性があります。すぐに大量の靴を送って下さい」と報告した。

為末さんは「同じことを見ていても全く違う結論がでる」こともある。自分の思い込みを取り除くためには、日頃からいろいろな人と話をして、自分とは異なる考えや意見の存在を知っておくと良いと答えられていました。

ところで、小咄のオチとしては、新規市場に果敢にチャレンジしようという後者のセールスマンの出した判断が正しいように思えます。売れないと判断した前者のセールスマンは、自分の思い込みに囚われて別の可能性の芽を自ら摘んでしまったわけで、為末さんの言う「思い込み」の罠にはまってしまった典型例とも言えます。

しかし、例えば裸足の島の人口は100人だが、隣の島には底のすり減ったボロ靴を履いた1000人の住民がいるとしたらどうでしょうか。裸足の島で苦労して100足の靴を売るより、隣の島でほんの少しだけ値引きして100足以上の靴を売ったほうが、より早く、より多くの利益をあげることができる。そんな判断も十分にあり得るでしょう。

物事を判断するときには目の前の事物ばかりではなく、一歩下がってより広い視野で全体を見ることが大切だ、という教訓も導き出すことが可能な小咄ですね。