「校長ブログ」 No.54(2016年6月10日)

2016.06.10

国立西洋美術館が世界文化遺産へ

先月、近代建築(モダニズム建築)の三巨匠(※1)のひとり、フランスのル・コルビュジエの計17の建築作品群が、ユネスコの世界文化遺産に登録される見通しと報じられました。

モダニズム建築とは19世紀までの石やレンガ作りの重厚な教会堂に象徴される建築様式にかわり、コンクリートや鉄骨、鉄筋、ガラスといった20世紀に生まれた新素材を多用して華美な装飾を排除した、普遍的かつ機能的でインターナショナル(無国籍)な、現代においてはごくあたり前に見られる建築様式です。

とくに、コルビュジエはピロティ(建物の2階以上を柱で地面から離した1階部分)、水平連続窓、屋上庭園、自由な平面、自由な立面という「近代建築の5原則」を提唱しました。近年、祖国フランスでサヴォア邸をはじめとする世界各地の彼の作品をまとめて世界遺産に登録しようという運動がおこり、日本唯一のコルビュジエ作品である国立西洋美術館もその一つに選ばれたのです。

上野公園の国立西洋美術館は、我が国の代表的な西洋絵画コレクションであった松方コレクションを収蔵するための美術館として、コルビュジエの基本設計(※2)により上野駅公園口を降りてすぐの場所に1959年に完成した鉄筋コンクリート造り2階建て(一部3階建て)の建物です。(高校1年生の中には先月の上野見学会で訪れた人もいるのではないでしょうか?)
 

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国立西洋美術館本館外観

外観は柱で宙に浮いた(ピロティですね)四角い箱といった感じですが、内部は中心部におかれたホールからスロープを使って2階に向かい、ホールを取り囲むように展示室が並んでいます。収蔵品の増加とともに展示室を外側に拡張していく「無限成長美術館」というコルビュジエのアイデアが採用されており(※3)、建物自体が一個の美術品といってもよい晩年の傑作です。

この西洋美術館の向かい側に建つ東京文化会館(1961年)は、コルビュジエのアトリエで修行した我が国モダニズム建築の第一人者前川國男の作品で、昭和を代表する名建築です。師弟の作品の競演を見比べるのも面白いかもしれません。

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東京文化会館1階ピロティ部分

この他にも多くの名建築が建ち並ぶ上野公園周辺は、建築志望の生徒のみなさんにとっては大変見応えのあるフィールドと言えます。

※1 モダニズム建築の三巨匠とは、コルビュジエとフランク・ロイド・ライト(米)、ミース・ファン・デル・ローエ(独)の三人

※2 基本設計はコルビュジエだが、実施設計と監理は、コルビュジエの弟子である前川國男・坂倉準三・吉﨑隆正の3人があたった。

※3 国立西洋美術館ホームページ 「建築探検マップ」参照
http://www.nmwa.go.jp/jp/about/pdf/DiscoverArchitectureMap_jp.pdf