「進路だより」 No.8(2016年5月10日)

2016.05.10

進路指導部では月に一度をめどに進路だよりを発行します。進路だよりの名前 “Open Mind” は「偏見なく考える心」という意味で、tackle problems with an open mind(先入観なく問題に取り組む)などと言います。社会変動が激しい今の時代において、どのような社会になっていくかは誰も予見はできません。先行きが不透明な時代であるからこそ、多様な人々と協働しながら主体性を持って人生を切り開いていく力が重要になります。また、今までのように知識の量だけでなく、混とんとした状況の中に問題を発見し答えを生み出し新たな価値を創造していく、知識をつなげあわせたり加工したりする資質や能力も重要になります。このタイトルにはこのような気持ちが込められています。
 

高大接続システム改革会議-2020年新テストに向け

最近、新聞でもよく目にする高大接続システム改革会議(文部科学省)では、高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革の検討が進んでいます。
中学2年生が高校3年生になる2020年度には、センター試験に代わって「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が導入されます。そこでは、これからの時代に求められる力を測ることができるように、「短答式」や「条件付き記述」などの問題形式でも問われることが決まっています。さらに大学ごとの個別試験においては「自由度の高い記述問題」が多く課されることも決まっています。このような問題に対応するには日頃より習得・活用・探求の学習過程において今まで以上に言語活動を意識することが必要です。そのような意味でも、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度を養うのにアクティブラーニング型授業や4D-Labのような探求学習は有効だと言えます。

中学3年生から高校3年生には関係がないのかといえば、そうではありません。実は既にこうした大学入試改革を先取りした大学が増えています。例えば東京大学や京都大学ですら推薦入試を始めていますし、その他の多くの国公立大学ではAO入試や推薦入試の募集定員の割合を増やし始め、一般入試においても思考力・判断力・表現力を問う問題も増えてきています。国公立大学進学希望者はこうした動向も注意深く気をつけておくべきでしょう。また私立大学においても多種多様な入試がすでに始まっています。TEAP入試はよく耳にすると思いますが、その他にも2018年度入試から早稲田大学では複数学部で「地域貢献型人材発掘入試(仮称)」を新規導入する予定であると公表しています。
 

昨年度の入試問題から

「条件付き記述問題」や「自由度の高い記述問題」とはどのような問題なのか、昨年度の入試問題の中から二つ紹介してみましょう。
 

【条件付き記述問題】発展途上国の場合、首都などの大都市に人口が集中する傾向が見られる。こうした集中現象が生じた歴史的背景や地理的・経済的要因と大都市でみられる職業や居住構造の特徴および発生している問題について、以下の3つの語句をすべて用いて300字以内で述べなさい。語句は繰り返し用いてもよい。

インフォーマルセクター     インフラ     所得格差
(2016年 九州大学 全学部「地理」の問題より)
 

 

【自由度の高い記述問題】近年、多くの国において、大都市に人口が集中する傾向がみられる。過度な人口の集中は、住宅環境の悪化、過疎地域の衰退、経済的格差の拡大など、様々な社会問題を引き起こす可能性がある。人口を大都市から分散させるために工学者としてできることには、どのようなことが考えられるか。人口の分散を目指す上で技術的な課題となることと、その解決法を論述せよ。
(2016年 東京大学 理科一類 外国学校卒業生特別選考「小論文」の問題より)
 


学校から一歩外に出ると、こうした力を身につけ、さらに自分の心に火をつけてくれるようなプログラムがいくつもあります。進路指導部の掲示板にはそのような案内を掲示しています。どんどんチャレンジしてみましょう。今回は大学が実施しているプログラムを二つだけ紹介しておきます。ホームページなどで調べてみてください。
 

  • 東京農工大学  IGS高大連携教室
    地球が直面する課題を解決する方法を、参加高校生が、農工大生・農工大留学生たちといっしょに考えます。課題に対するグループ討論、Science English、化学系実験、農工大生・留学生との交流、課題解決のためのグループによる協働作業とプレゼンテーションなど、多彩なプログラムに取り組みます。
     
  • 筑波大学  応用理工サマースクール
    高校で学習する「理科」とその発展的応用であり社会のさまざまな場面で活躍する「技術」を結びつけ、その関係を知ってもらうために「応用理工サマースクール」を開催しています。高校で「理科」を学習する意味やその価値を、身近な応用へつながる様子を高度な観察設備などを使い「体験」することでより具体的に理解できるプログラムです。