「校長ブログ」 No.39(2016年2月17日)

2016.02.17

高橋みなみ『リーダー論』を読む
 
入試で忙しかったことを理由にブログの更新をサボってしまいました。(申し訳ありません…)
 
硬派のジャーナリストであり評論家としても有名な田原総一朗さんが、実はAKB48ファンであることはよく知られています。その推しメンが高橋みなみさんであり、高橋さんは政治家としても十分通用するだけの力を持っていると、テレビ番組の中で言っておられるのを耳にしたことがあります。因みに僕はAKB48について、アイドルグループであること以外の知識をほとんど持ち合わせていません。指原さんと高橋さんの区別くらいはできますが、それ以外のメンバーとなると、もはやどれが誰だか全く区別がつきません…。
 
AKB48グループの総監督として、数百人のメンバーを束ねる立場にある高橋さんの『リーダー論』という著書がベストセラーになっていることを知り、ちょっと気になって冷やかし半分で読んでみました。ところが一読して、これがたんなるタレント本ではない、実践に基づく極めて優れたリーダー論、組織論、マネージメント論であり自己啓発書であることに失礼ながら驚かされました。
 
彼女はメンバーの中でとくに優れた才能もカリスマ性も持っていない自分が、存在感でみんなを引っ張っていけるリーダー性を持ち合わせていないことを知っています。劣等生の凡人が認められるためには、努力し頑張ることしかないと彼女は言います。そして、リーダーとしてチームを一つにまとめるために何ができるかを必死になって考え実践していく中で編み出した哲学を「リーダーの5つの仕事」すなわち、1.メンバーのことを理解する 2.ほぐして、つなぐ 3.導く 4.手本を示す 5.任せる 以上の5項目(段階)に的確にまとめられています。
 
とくに印象に残った言葉(見出し)を拾っていくと、

チームのメンバーにとっていいリーダーとは「自分のために」何かしてくれる人。
悩んでいる子は“答え”より“理解者”を求めている。
ひとりに注意したいことも100人に向かって言う。
どこかで誰かが傷ついていることを忘れない。
強いチームであるためには「ひとりひとり」でなければならない。
小さな“ダマ”がチームをダメにする。
リーダーは「母」ではなく「父」の視点に立つ(リーダーは孤独であれ)。
リーダーは正解か不正解かわからないことでも「決める」(「決める」こと自体が大事)。
リーダーの大きな仕事のひとつはメンバーに手本を示すこと。
努力の結果はすぐ、目に見える形で表れるわけではない。努力が何かしらの結果に結びつくまでには、タイムラグがある。
本気で努力した先には、当初思い描いていたのとは別の到達点がある(努力には副産物がついてくる)。
「できないこと」は「伸びしろ」になる。
「自分にどれだけ時間をかけたか?」が自信につながる。
プレッシャーに打ち勝つためには、圧倒的にやる。練習が大事、経験が大事。
失敗しても必要以上に責めない、叩かない。
相手を信じて弱さを見せることもリーダー。弱さを見せられることが一番の強さ。
やれる仕事はとことん自分でやった上で、リーダーの最後の仕事は「任せる」こと。

高橋さんの10年間に及ぶAKB48での奮闘努力の実践から得られたこれらの言葉は、組織やリーダーの本質をとらえていて感動的ですらあります。「校長」というリーダーである僕にとって、大変示唆に富む指摘の数々でした。もちろん、クラスや部活のリーダー的な役割を担っているみなさんにとっても参考になることは間違いありません。
 
高橋さんは、誰もがリーダーという立場にいるわけではないけれど、誰もが何かしらのチーム(組織)に所属しているのだから、リーダーの仕事を理解することはチームのことをより客観的に見つめる視点を得ることになり、メンバーとして自分はチームのためにこう動きたい、こんな役割を果たしたいというアイデアが生まれるきっかけにつながると言います。全くその通りだと思います。リーダーとメンバーが相互にその役割を果たすことで組織は進化し成長していきます。それはAKB48の存在が証明しているでしょう。
 
高橋さんはまもなくAKB48を卒業され新たな道に進まれるとのこと。彼女ならきっとどんな困難も乗り越えていかれるでしょう。それにしても、24歳にしてこれだけのリーダー論をものにする高橋みなみ、すごいとしか言いようがありません…。
 

高橋みなみ 『リーダー論』 講談社AKB新書(741円+税)

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