「校長ブログ」 No.32(2015年12月11日)

2015.12.11

『小泉今日子書評集』

小泉今日子(KYON 2)さんのアイドル時代についてはよく知りません(ちなみに僕にとってのアイドルはキャンディーズ(1973~78年)で終わりです)。だから彼女のことは歌手ではなく女優であると認識しています。映画『グーグーだって猫である』や『毎日かあさん』での自然な演技や、とくにNHK朝の連ドラ『あまちゃん』(2013年)の天野春子役での圧倒的存在感で、演技者としての小泉今日子の実力を存分に楽しませてもらいました。

その小泉さんが読売新聞読書欄の書評委員を10年(2005~14年)も続けていたとは迂闊にも気がつきませんでした。彼女が10年間に採りあげた97冊の書評をまとめた本が話題になっていたので、早速読んでみました。

仕事の合間にただ座っているだけだと話しかけられてしまうが、「本を読んでいる人には声を掛けにくいのではないかと思ったから」という華やかなアイドルの世界にいた人とは思えない“恥ずかしがり屋”で“人見知り”な一面から読書好きになったことが意外です。その率直さ、気取らなさが彼女の文章にもよく表れていて、たんなる「面白い本の紹介文」になっていないところが面白い。

ここに集められた書評の数々は、歌手・女優という肩書きを外した38才から48才にかけての一人の女性が、書評という形式を借りてその時々に感じていた不安や悩みや寂しさを率直に書き連ねたエッセイとしても読めるし、また新聞掲載順に並んでいるから『小泉今日子日記』のようにも読めます(『あまちゃん』撮影中には『寺山修司少女詩集』を読んでいたなんて…)。もちろん、小泉今日子をしてそんな思いに駆られるよう仕向けた本を読んでみたいとも思わせるので、しっかり書評としての役割も果たしているのです。

小泉今日子さんが紹介する97冊のうち僕が読んでいた本はわずか数冊、多くは自分の読書傾向からは少々外れていたのですが、彼女の書評を通じてあらためて興味をひいた本もずいぶんありました。冬休みにはKYON 2推薦の物語世界を楽しもうと思っています。