「進路だより」 No.2(2015年7月28日)

2015.07.28

本当に大学に行く必要はあるのか?

みなさん安藤忠雄さんを知っていますか。現在73歳。みなさんも新国立競技場の建設問題でお名前くらいは聞いたことがあるでしょう。安藤さんは東京大学名誉教授をつとめながら、東日本大震災復興構想会議議長代理にも就任しています。さらに海外の大学の客員教授にもなり、数カ国の公共施設の建設も手がけています。まさに日本を代表する建築家です。そんな安藤さんはきっと大学でも一生懸命勉強して優秀な成績を修めていると思っていましたが、実は大学を卒業していません。入学してもいません。

安藤さんは大阪の工業高校を卒業したのちプロボクサーになりました。しかし当時(1960年代)活躍していたファイティング原田という選手に出会い、自分には才能がないとボクサーをやめたそうです。そのあと、建築事務所でアルバイトをしながら自分で勉強して建築士の試験に合格しました。そして貯めた資金で4年間世界を渡り歩き、帰国したあと、自分の事務所を開設、個人の狭小住宅「住吉の長屋」が高く評価されて日本建築学会賞を受賞しました。すると公共施設などの設計依頼も来るようになり、現在のような「世界の安藤忠雄」となりました。そうした経験を大学で教鞭をとりながら大学生たちにも伝え、安藤さんに続く建築家を育ててきました。

ここで疑問を持ちませんか。「大学を出なくても活躍できる道があるのならば、大学を出なくとも、あるいは勉強をしなくてもよいのでは?」って。
確かに大学に行くことが重要なのではないと思います。大学に進学して何をするのか、ということがきっと大切なのでしょう。だから安藤さんは大学に行かなくても何をするのか-建築についての勉強をする-が分かっていたから大学に行く必要がなかったのかもしれません。しかし、大学に行かないと取れない資格や、大学に行ったからこそできる勉強があるのも事実です。みなさんにとって興味あることが大学に行く必要があるのか否か、調べてみる必要がありますね。

勉強することについては、校長の大久保先生が始業式で「ぜひ勉強して欲しい」と話していらっしゃったのを憶えていますか。勉強する意味って分からない人もいるかもしれませんよね。答えがでるのは中学生のうちではないかもしれません。もしかしたら高校を卒業、あるいは60歳になったときに初めて分かることも・・・。ちなみに私には絶対的な答えがまだ見つかりません。ただ、「勉強しておいてよかったな」「中学生の時に理解できていたら高校生でもっと数学できたのかな」って思うことはよくあります。でもそれは大人になってみないと分からなかったことですね。ただ、ひとつ思うのは、少しは勉強したから「勉強しておいてよかった」って思えるのかもしれません。

みなさんの夢はなんですか?

今年は2015年。今年は中東問題(パレスティナ問題*)にとって大きな節目の年です。高校生のみなさんは世界史の時間に勉強しましたね(高校1年生はまだこれからです)。第一次世界大戦中、イギリスが戦争を自分たちに有利にすすめるため、現在のパレスティナ地方周辺に住んでいるアラブ人やユダヤ人に対して「多重外交」をおこない、これが中東問題の遠因になっていると・・・。その最初の約束である「フセイン・マクマホン協定」が結ばれてからちょうど100年です。

中東問題を考えるといつも思い出すことがあります。大学生の時に見た深夜のドキュメンタリー番組です。当時(1995年頃)はパレスティナ問題が一時解決に向かいそうでしたが、再び暗礁に乗り上げたときでした(詳しく知りたい人は池上彰著『そうだったのか現代史』など読んでみてください)。いちばん大きな被害を受けていたガザ地区での潜入取材の中で、記者がパレスティナ人の10歳の少年に質問します。「きみの夢は何?」-「早く大人になって自分の両親を殺したイスラエル人を殺すこと」-これが返事でした。
真剣なまなざしでカメラを見つめながら、狂気の色もなく答えていました。

この映像を見たときにとてつもない衝撃を憶えました。愕然としたんです、これが10歳の子どもの夢なんだと。夢というのは何となく「明るい」「楽しい」「わくわくする」ものだと思っていました。だからそんな夢を考えたこともありませんでした。そして、こんな夢はあってはいけないと思いました。「自分のなかの何か」にとって大きな転機になりました。
みなさんの夢はなんですか?そう聞かれたらなんと答えますか?
*パレスティナ地方をめぐるユダヤ人とパレスティナ人(アラブ人)の紛争で、戦争自体は1948年に始まった。現在も未解決で互いの民族の激しい対立が続いている。



各学年 7・8月の進路関係行事

【中学校】
1年 林間学校「富士山研究」発表!
2年 今月は特にありません
3年 卒業研究レポートのフィールドワーク実施、修学旅行事前学習

【高等学校】
1年 進研模試、社会人講話、オープンキャンパス参加
2年 進研模試、センター試験体験、オープンキャンパス参加
3年 自分の進路に向かって進むのみ!