「校長ブログ」 No.15(2015年7月21日)

2015.07.21

1学期終業式の式辞から

7月18日(土)、1学期の終業式を迎えることができました。終業式の式辞で中学生・高校生にそれぞれ次のような話しをしました。

中学の終業式では、映画監督の大林宣彦さんの「夏休みが永遠に続かず終わりがあるのは子どもが自分自身の成長を実感するためであり、だから子どもにとって夏休みの終わりを考えることは、来るべきあしたを創造する力だ」という、ずいぶん昔読んだ文章(※1)を紹介した上で、子どもの特権としての夏休みを存分に活用してふだんできないことに積極的にチャレンジすること、8月31日には素晴らしい夏休みがこれで終わってしまう「もの悲しさ」をからだいっぱいに感じて(それは、ひと夏の自分の成長を実感すること)、9月1日には元気に登校してほしいと話しました。

高校の終業式では、ふだんよりかなり時間をとって「死者を悼む夏」の意義について話しました。今年は第二次世界大戦(アジア・太平洋戦争)終結から70年目の節目の年にあたり、また折から衆議院を安保関連法案が通過したこともあって、この夏は例年にも増して国民のあいだに戦争や平和への関心が高まっているように思います。高校生には少々難しいかもしれないが、国際平和や国の安全保障のあり方などについて考える夏でもあってほしい。その上で、こうしたテーマを考えるきっかけとして、今夏公開される2本の映画とその原作を紹介しました。

一つが、半藤一利原作の『日本のいちばん長い日』(※2)、もう一つが、高井有一原作の『この国の空』(※3)です。いずれも日本の敗戦直前の昭和20(1945)年の8月を描いたものですが、ひとつは事実に基づいたノンフィクションであり、ひとつは小説という形を借りたフィクションです。両作品とも70年前の日本人が体験した戦争を扱っていながら、まったく異なる立場、見方からそれを描いていて、その対照性は人間や社会の見方の幅広さを知ることにもつながるのではないかと思います。

夏休みは始まってしまうとあっという間に終わってしまいます。8月31日の夜、「やれるのにやらなかった」ことだけは後悔しないように、と願っています。

※1 大林宣彦「なぜ夏休みは終わってしまうのか」(『朝日新聞』2001年8月28日夕刊掲載記事より)
※2 半藤一利『日本のいちばん長い日』(文春文庫所収)
   映画は1967年に制作された岡本喜八監督作品をリメークした原田眞人監督作品が8月8日公開される。
※3 高井有一『この国の空』(新潮文庫所収)
   映画は荒井晴彦監督作品が8月8日に公開される。