「校長ブログ」 No.106(2017年10月12日)

2017.10.12

漱石山房記念館 

今年2017年は、文豪夏目漱石の生誕150年にあたります(因みに昨年は没後100年)。さまざまな記念イベントが各地で行われていますが、その一つとして、漱石が晩年の9年間を過ごした新宿区早稲田南町の旧居跡に「新宿区立漱石山房記念館」が924日にオープンしました。先日、都心での用事の帰りに寄ってみました(注①)。

「漱石山房」と名付けられた家は和洋折衷式の平屋建て借家で、ここに転居したころ、漱石は東京帝国大学を辞めて朝日新聞社に入社し文筆に専念するようになりました。『坑夫』以降の代表作はすべてこの家で書かれています(注②)。週に一度、木曜日の午後を面会日と定めた漱石のもとに、彼を慕う若い文学者たち(小宮豊隆、寺田寅彦、鈴木三重吉、森田草平、阿部次郎、芥川龍之介…)が集まるサロン(木曜会)が形成されました。また、漱石には鏡子夫人の間に二男五女の子供がいてこの家で暮らしていました。昨年、NHKで「夏目漱石の妻」(尾野真千子・長谷川博巳主演)というドラマが放映されましたが、気難しく癇癪持ちの漱石と大らかで開けっ広げな鏡子の、夫婦の情愛の機微が描かれ秀逸でした。

記念館内には漱石山房の中心であった漱石の書斎と木曜会の場となった客間、そしてベランダ式回廊の一部が再現展示されています。書斎の家具や書架に並べられた書籍なども、残されている写真や資料を元に忠実に再現されています。館内には漱石の草稿や直筆葉書、書簡、短冊などのほか、貴重な初版本が展示されていました。これからも漱石関連コレクションを順次増やしていく計画のようです。

記念館の裏手の庭園部分には通称“猫塚”が立っています。猫塚とは言うものの猫の墓ではなく、猫を含めて夏目家で飼われていた小動物を供養した碑だそうです。かつてこの地は小さな公園でした。20年以上前に訪れたときにも、この石塔はひっそりと建っていたことを思い出します。こんなに立派に整備された漱石山房に、地下に眠る猫たちもきっと驚いていることでしょう。


漱山房記念館(雨が降り出してきました)
漱山房記念館(雨が降り出してきました)

再現された書斎
再現された書斎

館内に黒猫が…
館内に黒猫が…

庭園内の猫塚
庭園内の猫塚


ところで生誕150年記念イベントとして、夏目漱石・記念年実行委員会が10月末日まで高校生(12年生)を対象に漱石作品読書感想文を募集しています。夏休みに『三四郎』を読んだ高校生、是非応募されてみては…。詳しくは実行委員会ホームページを。

  (http://soseki.a.la9.jp/

注① 漱石の生誕地(新宿区喜久井町)もすぐ近所で、漱石の父親が名付けたという「夏目坂」は今も残っています。
注② 英国留学から帰国後に住んだ千駄木の家(『吾輩は猫である』を書いた家です)は、現在、愛知県の明治村に移築公開されています。この家は漱石が住む前に森鴎外が住んでいたことでも有名です。